【生活福祉資金貸付制度とは?】低所得者のための貸付を徹底解説!
経済が回復している陰で、拡大していると言われているのが「貧富の格差」です。特に、若い世代に低所得者が増えています。
そんな低所得者を支援するために国による貸付制度があり、それが「生活福祉資金貸付制度」(福祉貸付)です。
なお、生活保護や失業保険を受給している人は貸付制度の対象外となります。
生活福祉資金貸付制度とは?
生活福祉資金貸付制度は厚生労働省の管轄になっていますが、貸付の窓口は各都道府県や市町村の社会福祉協議会です。
ちなみに、低所得者は得てして、カードローンなどで多重債務となっているケースがありますが、生活福祉資金貸付制度は基本的に生活支援のための制度であるため、債務の借り換えなどに利用することはできません。
資金の種類としては以下の4つがあります。
なお、あくまでも「貸付」であるために返済が前提であり、返済見込みのない人には貸付は行われません。
また、経済的自立を促す指導を貸付と併用して受けなければなりません。
1.総合支援資金(生活支援費、住居入居費、一時生活再建費)
失業などによって生活が困窮している世帯に対し、自立や生活再建の支援を目的として資金の貸付が行われます。
2.福祉資金(福祉費、緊急小口資金)
最低限の生活の維持などの福祉の意味から、低所得者世帯・障害者世帯・高齢者世帯に無利息または低金利で資金が貸し出されます。
なお、低所得者世帯における一時的若しくは緊急の資金需要に対応する「緊急小口資金貸付」も設けられています。
3.教育支援基金(教育支援費、修学支度金)
教育的観点から、低所得者世帯の子供が高校、大学、専門学校に進学するための費用に対する貸付が行われます。
4.不動産担保型生活資金(不動産担保型生活資金、要保護世帯向け不動産担保型生活資金)
不動産を所有している高齢者に対し、不動産を担保とした生活資金の貸付が行われます。
生活福祉資金貸付制度の貸付対象世帯は?
生活福祉資金貸付制度は「個人」への貸付ではなく、「世帯」に対する貸付を趣旨としています。
低所得者世帯
- 低所得ゆえに必要な資金を金融機関から借りることが難しいが、資金の貸付によって自立できると認められる世帯
- 市町村民税が非課税程度(所得35万円以下)の世帯
高齢者世帯
日常生活において、療養または介護を必要とする65歳以上の高齢者がいる世帯
障がい者世帯
身体障がい者手帳、療育手帳、精神障がい者保健福祉手帳の交付を受けた人などがいる世帯。
生活福祉資金貸付制度の貸付条件
- 貸付を利用するには以下の条件をすべて満たすことが必要です。
- 貸付金を返済できる見通しがある。
- 貸付が実施されるまでの数週間〜1ヶ月の待期期間を受け入れられる(緊急小口資金は一週間程度)。
- 該当する都道府県に住居がある。
- 本人を証明できる公的書類がある。
- 貸付を受けることをハローワーク、社会福祉協議会などの関係機関が承認している。
- 社会福祉協会が貸付元となっている貸付制度の連帯保証人になっていない。
- 社会福祉協会や民生委員の支援を拒否しない。
- 使途が債務の借り換えではない。
- 失業保険などの公的支援を受けていない、受ける見込みもない。
金利は保証人がいる場合はゼロ、最大でも3%と、消費者金融や銀行などのカードローンと比べると、圧倒的にお得です。
貸付限度額は対象が低所得者だけに低めになっています。
なお、返済期限までに返済しないと、延滞利子(年10.75%)が加算されます。
生活福祉資金貸付制度の手続きは?
資金によって流れが異なります。なお、申請から貸付金の受領までに約1ヶ月が掛かります。
福祉費、教育支援資金、不動産担保型生活資金
(1)地元の社会福祉協議会に貸付の申請をします。
(2)審査に通ると「貸付決定通知書」、落ちると「不承認通知書」が送られてきます。
(3)貸付が認められたら、社会福祉協議会に借用書と印鑑登録証明書を提出し、貸付金を受領します。
総合支援資金、緊急小口資金
(1)事前に、自立相談支援機関を利用します。
(2)貸付認可の可能性がある場合のみ、貸付の申請をします。
(3)貸付認可となった場合、社会福祉協議会に借用書と印鑑登録証明書を提出し、貸付金を受領します。
生活福祉資金貸付制度がいくら低所得者に対する福祉的要素のある貸付とはいっても、貸付資源が税金であるため、審査は非常に厳しくなっています。
失業して『お金に困っている』程度の理由では貸付が不認可となります。